イレブン・マディソン・パークの評価と予約

Eater New York誌によると、2019年からニューヨークの最低賃金が年収$58,500に引き上げられたことにより、テイスティングメニューの値段も$335に上げられたとのこと。イレブン・マディソン・パークは、ニューヨークでは、Masa（$600）, Brooklyn Fare（$370）, Per Se（$360）に次ぐ4番目に高額なレストランです。しかも料金は予約の時点の前払いのみです。二人だと税金を含めて$729の前支払いとなっています。それにワインのペアリングコースを加えると二人で$1,100を超えてしまいます。

ちなみにニューヨークで他の$300以上の高級レストランは日本食ばかりです。小野寺、宇宙、あまね、ノズ等。イレブン・マジソン・パークがなぜ人気かというと、アメリカ人にとって新しいスタイルを体験できるところでしょうか。今までのアメリカのフレンチなどでは、前菜、主菜がドン、ドンとサーブされていました。それが、新しいスタイルのイレブン・マディソンでは、懐石のスタイルを取り入れ9品、10品と小鉢や小皿でちょこちょことサーブされる。サーブされる度にサーバーが事細かく食材やお料理のテーマについて説明をして下さる。季節を意識した盛り付けや季節の食材を用いる、など日本では当たり前となっていることではありますが、これら一連のサービスがアメリカで新しく取り入れられたところが人気を得た理由でしょう。

しかしながら、日本だと仲居さんや給士さんは場を見計らったり食材が冷める前にタイミングを見てお食事の説明をして下さるようにサービスレベルが非常に高い。それに対し、こちらのサーバーはマニュアル通りに全てを長々と説明したり間違えたり、質問しても答えられないなど料理学校を出たての人材がマニュアルで教え込まれた知識だけで給士係という業務を遂行するまでで、煩わしく感じる場面もあり、（面倒ですから）下がって結構ですよと言いたくなる始末です。ですが、それがこれまで懐石や料亭のような高度なサービスを受けたことのないアメリカ人、特に新興のリッチな若者に受けているのでしょう。今日のニューアメリカンレストランの名声と繁栄はそういった状況で作り出されているように思います。

また行ってみて驚かれると思いますが、このレストランはアジア系の若い富裕層がたくさん訪れています。皆さんが店内で動画を撮影したり、一つづつお料理を撮影し、セルフィーの写真を撮ったりしておりますので他のお客様も写真に入ることもあります。一通り大人の経験を積んできた紳士淑女でしたらとても腰を据えてお食事を楽しめる場所ではありません。一流のフレンチやニューアメリカンに行かれるのでしたら、ル・バーナディンやダニエルのように落ち着いた客層や大人の雰囲気の中でお食事や会話を楽しまれた方がよろしいかと思います。写真を撮ったり、一品づつちょこちょこと沢山のコースを頂くのがお好きな若い女性の方々もいらっしゃるでしょう。そのような方にとりましては土産話にイレブン・マジソンもよろしいかもしれません。またドレスコードはありますがお洒落であれば特に気にされません。予約はお支払いを前払いでする以上必ず必要となります。